2008年5月
No,094 ■自立するのが早いのはワケがある?
一口に「ろう児」といっても、親が聴者かろう者かによって違いがある。いずれバイリンガルろう教育が充実すれば、その違いはなくなるのかもしれないが、少なくとも口話で教育されている現段階では、聞こえる親を持つろう児はたいていおとなしい。それに比べて、ろうの親を持つろう児たちは、行動が機敏であると同時にいたずらっ子も多い。
この違いはどこからくるのだろうか。デフファミリーの子どもたちは、早くから家庭内で手話のやり取りを見ているので、情報量が豊富だ。一方、聴者の家庭では周囲の会話はろう児に届かないという違いがある。しかし、原因はこれだけではないようだ。
聴者家庭では聴覚が優先し、ろうの親は情報を目でとらえていく。ここに起因するのではないだろうか。親がろう者だと、子どもがろう児でも聴児(CODA)でも似たような行動をとる。そう感じるのは私だけではなく、複数の人がそう言っている。
私自身も思い当たることがある。転んだりどこかにぶつかったりすると子どもは泣く。ところが、どんなに泣いてもろうの親は駆けつけてはくれない。実は、私がまだ小さかった頃、トイレに落ちたことがある。中に溜まっているものが少なかったのは不幸中の幸いだったが、落ちた瞬間にまず考えたのは「親(ろう者)はどこにいるんだっけ?」ということだった。次に「あ、おばあちゃん(聴者)がいたはず。騒げば来てくれる」と思いついてから、大声で叫んだ。声が聴者の耳に届くことを承知した上での行動だったと思う。ろうの親を持つ子は無駄には泣かないのだ。一方、聴者の親は何か物音がすれば飛んでくる。子どもは自分から発信するまでもない。ろうの親を持つ子どもたちは、転んだりぶつけたりしても、まず親を探しにいく。親の目の前で泣きながら出来事を伝える。これはろうの親をもつ子どもたちに共通の行動だ。
ろう者は「目の人」である。いくら大きな音を出しても意味がない。それを子どもながらに承知している。聞こえる親を持つ子どもは、泣いていれば親がやってくるので、状況判断や自分で行動を起こす必要がない。そういうところから、ろうの親を持つ子どもたちは自立が早くなるのではないだろうか。泣いているだけでは誰も手を差し伸べてくれない。自ら考え行動を起こさなければならない。その結果、いたずらっ子になったり、利発になっていく。いずれにしても、自立が早いのはろうの親のおかげなのかもしれない。
(日本語訳:chu)
■このメルマガは、2008年5月12日にまぐまぐ!によって配信されたものです。
■学院スポーツ交流会
またまた古い話ですみません。
先日の金曜の午後、学院生によるスポーツ交流会が行なわれました。学院には5学科があって、ふだんは別々のフロアにいるため、顔をあわせる機会がないのです。だから、スポーツを通じて健康増進(?)と交流を深めようということで、数年前から企画されています。
まず、キックベース(グラウンド)とドッジビー(体育館)の2ゲームを同時進行で楽しんだ後は、クラス対抗バレー大会。クラス対抗には教官チームも加わって、非常な盛り上がりをみせます。
いっち~先生は、飼い犬に噛まれ右手を8針縫う大怪我をしたにもかかわらず、前日までには抜糸をすませ、昼過ぎにはもうハイテンション。そんないっち~先生は本気モードでアクセル全開、手加減なんかしません。(2年生女子はみんな「いっち~、こわいよ~」と言ってました
)
おちょ先生は余裕&お楽しみモードで、決めるところは決める、とスポーツマンらしさ(?)をみせましたが、教官チームは残念、入賞できませんでした。
私? 私は血管が弱いから試合は遠慮しときました。(応援にまわりました)
No.093 ■「/注意する/と/助言する/」
私の職場である手話通訳学科で「卒業研究発表会」があり、終了後1年生を集めて反省会のようなものをした。卒業研究の発表は2年生が行い、1年生は裏方で受付や弁当手配などを担当する。その反省会での発言だ。卒業研究発表会では、休憩時間にセルフサービスの飲み物を提供する。お湯を入れたポットを2台と紙コップを用意しておいた。すると、先輩に「注意された」のだという。どんな失敗をやらかしたのだろうと聞いていたら、「ポットが2台あるのだから、紙コップも二手に分けてそれぞれのポットの近くに置いておいてはどうか」と言われたらしい。学生は「"注意"される前に、気を利かせて紙コップを分けておけば良かったものを・・・」と反省していたが、それは「注意」ではなく、「助言」だったのではないだろうか。状況を聞いてみると「怒られた=注意された」ではなく「助言された」と言うべきものだと思うのだ。手話の「注意」は大失敗をおかしたときに、二度と同じ失敗をしないようにと厳しく言うことであって、上記のようなことは「助言」であり、その返答は「助言いただき、ありがとう」となるべきものだ。この学生は、怒られたと思い「すみません」と謝ったかもしれない。
日本語にも「注意」という語彙があり、手話にも<注意>という語彙があるので、それぞれを結びつけて覚え、安易に使うのだと思うが、実は、日本語の「注意」と手話の<注意>は意味や使用場面が微妙に異なる。日本語の「注意」のつもりで手話で<注意>とすると齟齬が生じる。このようになんだか釈然としないままにしているろう者も多いのではないだろうか。
似たような例で「相談」という言葉もある。時節柄、学生と進路のことなど話すことが多い。「相談したい」というので話を聞いてみると、どこにも「相談」は出てこず、結局「報告」だったということがよくある。もう既に決まっていることや決意したことを先生に伝えておきたいということらしいが、その時間を確保するために「報告があります」ではなく「相談があります」と言うのだ。「相談」と言われたから、何がしか助言をし、共に考えてやろうと心積もりしているのに、話の中でどこにも私が助言すべき箇所は見つからない。いったいどういうことだと思っていたが、どうやら、日本語では「相談したい」という前置きと、「報告あります」という前置きでは印象が違うらしい。学生から先生に向かって、日本語で「ご報告があります」と言ってしまうと、なんと生意気なと思われてしまう。そこで、内容は報告事項であっても、相手に失礼にならないよう「ご相談が・・・」と切り出すようだ。「ご報告があります」と切り出せるのは結婚が決まったときぐらいだろうか。しかし、手話で<相談したい>と言われたから、それなりに学生を迎えた当方としては、心積もりした分だけ損した気分になる。ろう者は、本当に助言がほしいとか、考えを聞きたいというときにだけ<相談したい>と言い、報告するだけのときにはきちんと<報告する>と言うものなのだ。
たしかに、日本語にも手話にも「注意」<注意>、「相談」<相談>はある。しかし、それぞれの使用範囲が完全一致してはいないことを踏まえていただきたい。さもないと、いつまでもろう者と聴者の隠れた齟齬はなくならない。
(日本語訳:chu)
■このメルマガは、2008年5月5日にまぐまぐ!によって配信されたものです。
■懲役10年は妥当?
手話を使って1億円以上をろう者(記事では聴覚障害者になっていました)13人からだまし取ったとして詐欺罪に問われた小林洋子被告に対して求刑通り懲役10年の判決を言い渡したという記事が朝日新聞(5月17日)付で載っていました。
執行猶予はなし、求刑通りの10年の実刑。妥当かどうかは私にはわかりませんが、被害にあったろう者への救済はないのでしょうか? (今回の事件に限らず、詐欺罪にあった人への救済システムはどうなっているのだろうか?と気になっています)
No.092 ■とんでも新しい手話
時折、けったいな手話にお目にかかることがある。<家・家>として「いえいえ」。<北・北>で「来た来た」。<注射・場>で「駐車場」。同様の使い方で、<ト+掻く><セ+掻く>で「とにかく」「せっかく」、または<ヤ>を倍にして「やばい」などのように、音声言語をもじった手話を創りだしては喜んでいる輩がいる。それを見た手話学習者が、これまた喜んで多用する。それを見たろう者は、叱りつけるわけにもいかず苦々しく思っているのだが、手話学習者はその思いに気づくこともなく、けったいな手話を使い続けるのだ。聴者が楽しいのならと黙認してくれる優しいろう者もいるかもしれないが、大方はそんなことで喜んでいるような聴者とはお近づきになりたくないと思っている。そして、大概の聴者は、そんなろう者の思いに一向に気がついていないのだ。
以前「聴力障害者の皆さんへ」といっていたNHKの「ろうを生きる、難聴を生きる」という番組がある。そこで、あるベテランの手話通訳者が、魚や花の名前の手話を創ってはどうかと提案した。一例として披露されたのは、<サ+魚>で「サンマ」、<タ+魚>で「タイ」、<カ+魚>で「カツオ」、<イ+魚>の「イワシ」。もともと「タイ」や「サンマ」はそれぞれ手話があるし、「カツオ」は<("カツオ"の口型(※)付き)魚>やCL+<魚>など、ろう者なりの表現がある。東京など都市部に暮らす人たちは、厳密に魚の種類を表す必要がないので、代表的な魚以外のは口型付<魚>で事足りる。一方、奄美大島などで漁業をなりわいとしているろう者は、イカにしても種類ごとにたくさんの手話を持っている。つまり、生活上こまごまと分類しなければならないものは、それぞれにあたる手話ができ、そこまでの必要性がない人たちの間には、該当する手話が定着しないというだけのことだ。
音声言語は書き残すことができ、表記したものは普及しやすい。しかし、手話は対面で使用される言葉なので、奄美大島だけで使われている手話が東京に伝播することはない。見る言葉であることから、広まり方に制限がある言葉だとも言える。それでも、<サ+魚>や<イ+魚>という手話を聴者が勝手に作り出すことは納得がいかない。
花の種類の手話にしてもしかりだ。<チ+花>で「チューリップ」、<サ+花>で「サクラ」。最近は、日本手話やろう文化が理解されつつあるので、前述のようなヘンな発案をする聴者は少なくなってきたかと思っていたら、そうは問屋が卸さなかった。高等教育機関で聴覚障害学生と共に活動している人たちである。それなりに手話を使い、熱心に活動しているのは良いが、手話は語彙数が少なく、キャベツもレタスも同じ表現で区別がつかないからと、<キ+野菜>で「キャベツ」、<レ+野菜>の「レタス」などを考案した。ろう者は別に困っていない。<キャベツ>と<レタス>の使い分けはできている。
さらに、くだんの学生たちは麺類の区別手話まで創ってくれた。<ウ+麺>「うどん」、<ラ+麺>「ラーメン」、<ソ+麺>「そば」である。「アホ」のひと言をどこに飲み込めばよいのだろう。ろう者たちは、ちゃんと「うどん」も「ラーメン」も「そば」も使い分けているではないか。ここで口型がものを言うが、この口型は別に日本語を話しているわけではない。ろう者も日本語を使う人たちの中で暮らしているので、その人たちが話している口の形を見て手話に取り入れているだけだ。わざわざ「そば」の<ソ>や「うどん」の<ウ>を思い起こして指文字にする方が面倒くさい。仮に口型をつかうのが不得手なろう者でも、「うどん」だったら<日本・麺>とか、「ラーメン」だったら<中華・麺>で足りる。このように、ろう者にはろう者なりの言葉の創り方がある。にもかかわらず、日本語を基にした発想でけったいな手話を創り、ろう者にもその使用を強いるのは、ろう者を見下しているに他ならない。と、思われていることをお忘れなく。
※日本語から借用した口型を「マウジング」という。
(日本語訳:chu)
■このメルマガは、2008年5月1日にまぐまぐ!によって配信されたものです。
Info おうちで絵本と日本手話!
0歳~6歳(就学前)のろう児とその家族のための貸し出し用なので、このブログを呼んでいる方のほとんどは対象外になってしまうかと思いますが、 BBEDろう教育センターはそういう事業もやっているのだということを知っていただきたくて、宣伝します。
もし周囲に該当されるお子さんとその家族がいらっしゃいましたら教えてあげてください。
■ おうちで絵本と日本手話! 6月貸出開始予定 (^O^)/
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ブルーベア・シリース <日本手話DVD>
~のっと君と絵本を楽しもう~
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(年賀寄付金助成事業)
就学前のろう児のための、
日本手話による絵本の読み聞かせDVDが誕生しました!
子どもたちが大好きな絵本が次々に出てきます。
パパやママのためには、ろう児の子育てアドバイスも収録。
おうちで日本手話☆ やってみませんか?
《貸出対象》 0歳~6歳(就学前)のろう児とその家族
※手話学習者用ではありません
《貸し出し開始》6月1日予定
※手話DVD は原作の絵本と一緒にごらんいただきます。
※貸し出しには会員登録と送料等が必要となります。
詳しくは、近日中にお知らせします。
BBEDろう教育センター
FAX番号:03-5767-5057
メールアドレスはこちら。
■明晴学園開校!!
ほんとに古いお話でごめんなさい。
ちょうど1ヶ月前の4月9日、明晴学園の開校式+入学式に参列してきました。
子どもたちは全員で41人。
みんな自然体で入場してきました。
かわいいです。
詳しくは、明晴学園のホームページをご覧ください。開校式の様子も動画で紹介されています。
明晴学園開校までの歩みがビデオで紹介されていたのですが、今より-6キロの体重をしていた私の姿が出てきてビックリ!(別人だ~)
川渕依子さんからのメッセージを米内山明宏理事長の手話で読み上げられたときは、ほんとに涙が出てきそうでした。手話を最後まで守り抜いた高橋潔氏の思いが80年を経てようやく実現したという事実に日本のろう教育への腹立たしさを感じるとともに、自分達のことばで教育を受けられることの喜びを後世に伝えていく責務が私達にあるのだ!と感じました。
(明晴学園のホームページで川渕依子氏のメッセージが読めます)
ところで、下の写真、なんだかわかりますか?
はい、紅白饅頭です。おめでたい席に欠かせないものですよね。
実は私はあまり期待していなかったのですが、口に入れてみてビックリ。美味しいのです!さすが、六行会さんが手配しただけにある、と感心したのは私だけ?
六行会さんも明晴学園を支えている団体のひとつです。ありがとうございます。
ここで、お願いです!!
明晴学園を応援していこう!「サポーター制度」ができました。個人の場合は月3,000円、年額にして36,000円です。
バイリンガルろう教育が日本に根付き、ろうの子どもたちがひとりの人間としてあたりまえに生き、未来の日本で(そして世界で!)、社会の各分野で活躍するための、社会的資源への投資だと思って、ご寄付いただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
■ミャンマーから
甚大なサイクロン被害が報じられているミャンマーにいる卒業生、オカアさん(14期)から「無事だよ!」とメールがありました。停電等でインターネットが通じなかったようです。
オカアさんはJICAの専門家として昨年12月からミャンマーにいるのですが、ともあれ、無事で良かったと胸をなでおろしました。![]()
ヤンゴンのろう者の無事も確認できたそうです。
これから雨期に入るので、安全な飲料水・食料の確保をしなければならず、衛生面で不安があるとのこと。サイクロン被害によりミャンマーろう者や関係者の日本での研修がキャンセルされる、なんてことがありませんように。研修が予定通り行なわれることを日本から祈るしかありません。
■ウォーキング
連休の間、少しでも運動をしないとおデブになった私が全国のお茶の間に流れてしまいます!! まずいです。パートナーの戸田さんは、3つの「しない」原則を貫き、10キロ減。そんな戸田さんの隣に立つのですから、ますますヤバイです。(おのっちさんがパートナーだったら、ダイエットを決意していたかどうかは…微妙
)
ということで、とん父のウォーキングに利用しているルートとは別に新規のものを、と近所を歩き回ってみました。
①出発! 写真ではわかりづらいですが、農道です。
②少し歩いていったところで後ろを振り返り、パチリ。クリーム色をしているのが実家です。(小さいほうね)
③田んぼの間にあるはぜ道を歩いていくと森につながる小路を発見。森の向こうに車が通り抜けたのを確認した私は、線路を超えて森へ突入(内心、どきどき)。
④神社がわき道にあったのであがってみたけれども、なんともいえない気を感じたのですぐに引き返す。ちょっと怖いです。
⑤どんどん歩いていくとお寺にも遭遇。墓地もありましたが、神社で感じた気もあったので撮影はせずにどんどん前へ。すると大きな道に出て、右手にいくと下り坂へ。
⑥下りきったら、見覚えのある風景が右手に。そのまま戻らずに前へ進んで家に戻るか、Uターンして家に戻るか、少し迷いましたが、ここまでで25分。道を間違えていたら、と思ってUターンすることに。そして振り返ると木が1本すっくと立っているのが目に入ってきました。上り坂です。
⑦左手には田んぼが広がっていました。
⑧小路やはぜ道の脇に生えている植物です。
緑の多いところで歩くのはまた気持ちいいものです。
No.091 ■新しい手話について
私は、手話指導や手話通訳者養成のかたわら、NHK手話ニュースのキャスターをしている。手話ニュースのキャスターになって、もう10年近くになる。手話ニュースではあらかじめ用意された原稿を手話に翻訳している。自らが考えたものを話すわけではない。時折、書かれている言葉をどのように手話にするか難儀することもある。一応、キャスター同士で申し合わせている用語もあるが、必ずしもそれを使わなければならないというわけではない。日本語の語彙と手話の語彙の意味が完全一致するわけではないからだ。ニュース原稿に書かれていることの意味を的確に伝えられる手話語彙を選択してお伝えしている。
全日本ろうあ連盟では、新しい手話や標準手話の普及に取り組んでいる。新しく創られた手話でも、ろう者に受け入れられるものもある。例えば、「四季」という手話だ。昔は、春・夏・秋・冬の手話はあったものの、その総称である「四季」という手話はなかったので、新たにこの手話が創られたときには、瞬く間にろう者の間に広まった。また「エイズ」という手話も同様である。
一方、せっかく創られた新しい手話でも、定着しなかったものもある。「真実」と「心」を組み合わせたと思われる「真心」という手話などだ。どうも、全日本ろうあ連盟が新しい手話を創るときには、複数の手話単語で表していたものの動きを簡略化して、少ない動きで表せるものにしようとの意図があるらしい。
新しい言葉が定着するかどうかは日本語でも同様だ。国語審議会などが、外来語等のカタカナ語をわざわざ日本語に訳したのに、結局受け入れられず、カタカナ語のまま使われていることもある。新しい言葉を創るのはかまわないが、それが定着するかどうかはその言葉によるのだ。
私は、手話ニュースにおいても、新しい手話を率先して取り入れようとしてはいない。なぜなら、新しい手話を使っても、それが視聴者に理解されなければ意味がないからだ。手話ニュースは、全日本ろうあ連盟の会員であるなしに関わらず、全国津々浦々のろう者に見ていただいている公共性の高いものである。そのため、まだ定着もしていない新しい手話を積極的に導入するわけにはいかない。NHK手話ニュースはあくまでもニュースの内容をきちんと伝えることが優先なのだ。CS放送の「目で聴くテレビ」では積極的に新しい手話を発信している。CS障害者放送統一機構は、ろうあ連盟の関係機関であるので、そちらで積極的にやっていただきたい。
ところが、新しい手話が紹介されるたびに唖然とすることも多い。手話言語学の専門家ならおわかりだと思うが、手話の動きにはあるルールがある。両手を同時に使う手話の場合、左右同じ手の形で、同じ動きをするのが基本だ。左右の手の形が異なっている場合は、非利き手が固定され、利き手だけが動く。異なる形の手を左右同時に動かすのは難しい。ところが新しい手話は、このルールを無視して創られているように思える。新しい手話を考える際には、是非、文法や音韻を熟知している人に関わっていただきたいものだ。
日本語の分野では、明治維新のころ西洋から新しい語彙がたくさん入ってきた。その中には「社会」のように、それまでの日本には概念の存在しない語彙もあった。「社会」は意外に新しい語彙で、明治以前の日本では「世の中」の「世(世間)」という語が使われていた。日本語の「世(世間)」と西洋の「社会」のように概念の微妙に異なる言葉を、慶應義塾大学の創始者である福沢諭吉は大変な苦労をして翻訳した。そのときに新しく創られ、定着した日本語も多い。新しい手話も同様に、使い手に受け入れられれば定着していくと思う。ただ、新しい手話の創造や普及のしかたには、もう少し検討が必要ではないかと思う。
(日本語訳:chu)
■このメルマガは、2008年4月14日にまぐまぐ!によって配信されたものです。
■習得言語と学習言語
新しくカテゴリーを設けました。「とん@ブックレビュー言い放題」です。![]()
まずは、『手話通訳なるほど講座 ~手話と手話通訳の力を磨く~』(市川恵美子・2008)からいってみよう!
「聞こえない方々が疲れない手話で通訳することが大事!」と「はじめに」のところで書いています。これ、ある意味、同感です。わけのわからない通訳をみて疲れたら通訳をしてもらった意味がないですもの。
全部は読み終えていないのですが、言語学の基本的な知識が欠けているのがちょっと気になるところ。
たとえば、13ページの「第一言語である習得言語というのは (中略) それに対して第二言語の学習言語は、訓練を受けて獲得する言語ですから(後略)」と書いてあります。
市川氏は、母語(第一言語)は習得されるもので、それに対し、第二言語は学習して獲得するもの、と考えています。それはある意味正しく、また、ある意味正しくないと思います。その理由は後述するとして、学習して獲得する言語を「学習言語」として、本文中に頻繁に出てきます。市川氏がそのように用語を定義づけて書いているのならばいいのですが、やはり、手話通訳の専門家として誤解を与えるような用語の使い方は良くないのでは、と言いたいですね。
「学習言語」と対比して出てくるのは「生活言語」です。「習得言語」ではないのです。実際の生活場面で必要となる言語能力を生活言語、認知・学習場面で必要となる言語能力を学習言語(カミンズ・1984)というのがふつうだと思います。
市川氏が主張したかったのは、「(聴者にとって)手話は、学習して獲得する第二言語である」ということだろうと思います。そして、それを「学習言語」とした。そうせずに「第二言語」と書けばよかったと思います。
次に、第二言語は学習して獲得するものなのか、ということです。たとえば、バイリンガルの子どもは第二言語をどのようにして獲得するのかということを考えてみると、学習して獲得するものであると言い切ることはできない、ということです。
また、成人向けの語学教育においても、第二言語を「習得」させるためのさまざまなアプローチが研究・開発されています。成人になっても適切な言語環境さえあれば第二言語を習得することは可能で、学習はその補完的役割を果たす、という研究もあります。
議論を突き詰めると語学教授法(言語教育)の問題になると思います。
今日はここまで。続きをお楽しみに!(←続きがあれば…の話ですが
)
■なんだかわかりますか?
1 ジャマイカ
2 ハンガリー
3 パナマ
4 クロアチア
5 キューバ
6 ガボン
7 インド
8 バングラデシュ
9 南アフリカ
10 スペイン
11 ナミビア
12 ニカラグア
13 エルサルバドル
14 メキシコ
15 ペルー
16 ギニア
17 サンマリノ
18 ヨルダン
19 チュニジア
20 エクアドル
21 マリ
上の国名を見てすぐにわかった人、あなたは偉い!!
インドを除き、大国が入っていないのがちと残念な気もしますが。(私はインドも大国の1つに数えています)
答えは…国連の「障害者の権利条約」を批准した国です。20番目のエクアドルが批准したのが先月の4月3日。条約が発効するのは批准国が20カ国を超えること。だから、2006年12月に国連総会で採択されてから1年半以内に発効するのは極めて異例な速さらしいです。(発効日は、2008年5月3日。奇しくも日本は憲法記念日にあたります)
詳しくは、(財)全日本ろうあ連盟が和訳した「国際障害同盟プレス声明文」をごらんください。
日本は確か106番目か107番目あたりに署名。かなり遅れをとっています。批准するのは、まだまだ先のことになりそう。条約を批准するのに国内法との整合性がとれていないから。(つまり法の整備が遅れているっていうことね…)
障害者の権利条約について詳細はこちら。
■堂島ロール
先日のある日、私のピンチヒッターとして出演した金子さんを応援するために(?)NHKに行ったら、その金子さんからの差し入れが…。
見てみると…見覚えのある、おいしそうなロールケーキ。
そう、あの堂島ロールケーキでした。
メタボ予備軍のため、ダイエット宣言した私。けれども、そのロールケーキを見ただけで、ダイエット決意ははるか彼方のむこうにおいてきました。
フルーツ入りのもおいしくて、ほんとに涙が出てきました。
生クリームの苦手な人はダメかもしれませんが、それでも味わってほしいです。バタ臭さがなくて、上品で。もしかしたら1本いけたかもしれません。
堂島ロールケーキのポリシーは「シンプル イズ ベスト」だそうですが、デコレーションも何もなくて、ほんとに美味しいです。
恐るべし、金子さん。グルメ通いやスィート通とみた!![]()
■連休後半スタート
ブログの更新をずっと怠っていました。
新規のプロジェクトがいっぱいあって、ばたばたしていたから…といったら言い訳になりますね…![]()
連休も後半に入り、ブログの更新にまずは着手!!
がんばります!![]()
■復帰します!!
3月31日付のブログで「残念なお知らせ」を書きましたが、「NHK手話ニュース845」の5月12日(月)放送分より復帰することになりました!![]()
復帰までにいろいろありましたが、復帰できたのは多くのご助言と応援があったからです。本当にありがとうございました。
心を新たにして、ニュースをよりわかりやすく伝えていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。
Info アロマが香る手話教室
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第1回ファミリー手話教室&ハンドマッサージ講座
~ママもパパも、おじいちゃんもおばあちゃんも、手話で話そう~
5/16(金)10:30~12:00
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(ラッシュジャパン助成事業)
お子さんが聞こえないと分かってから「手話を習おう」と思っても子ども連れで手話を習える場所はなかなかありませんよね(;;)
そこで、当センターでは赤ちゃん連れで参加できる手話教室を企画しました。
手話教室のあとは、ラッシュジャパン様の全面協力のもとアロマ香るハンドマッサージのお楽しみつき~☆
忙しい子育ての時間を忘れて、ホッとできる場もご用意致しました。ぜひお越し下さい!










































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